2006-07-22

[] 『フューリー』ブライアン・デ・パルマ監督  『フューリー』ブライアン・デ・パルマ監督 - coco's bloblog を含むブックマーク はてなブックマーク -  『フューリー』ブライアン・デ・パルマ監督 - coco's bloblog

フューリー [DVD]

小学生くらいの頃に観て以来だから随分久しぶり。『キャリー』は何度も観返しているのにこれだけ観る機会がなかったということは、出来自体を疑問視して知らず知らず避けていたのかも、なんて想像も一部は正しかったりして。

原作はスティーヴン・キングも敬愛するというジョン・ファリス。でも作品を良く言う声は聞いたことがありません。邦訳に恵まれないせいもありますが、作家自らが脚本を手がけたこの作品を見ても二線級の作家だという思いが強まるだけの結果に。同じ超能力者ものとしてデ・パルマがこれの前に撮った『キャリー』と比べると、ストーリイテリングのなまくら具合がよりはっきりします。避け得ぬ悲劇的結末に向かって何一つ無駄なく進行する『キャリー』に比べこちらは中だるみもはなはだしく、それはデ・パルマの話術を持ってしても救えぬほど。二つの筋が交差するラスト付近の展開でも必然性が感じられずぐだぐだ。

ただ、原作、脚本共に凡庸なわりに監督の腕と演技陣の個性によってなんとか踏みとどまっています。いつもよりも遊びが少なめとはいえ、デ・パルマらしいカメラワークと構図の冴えは目を見張るものがありますし、『キャリー』でのスー・スネルという難しい役どころで印象深いエイミー・アーヴィングに、カークダグラス、ジョン・カサベテス、チャールズ・ダニングという大物たちもさすがに存在感あり。初期デ・パルマ作品としては最も印象薄い作品ではありますが、ホラーとしてみた場合、現代社会において居場所のない超能力者の悲哀を描いたものとしてはとても判りやすい(そういうセリフ多し)ものなので、『キャリー』や『デッドゾーン』などと見比べてみるのも一興。

エミリー・ローズ』 スコット・デリクソン監督

エミリー・ローズ デラックス・コレクターズ・エディション [DVD]

この映画を評して「これはホラー映画じゃない」という声を多く聞きますが、これはホラー映画です。超常現象をはっきりとホラーの手法で撮っていることを抜きにしても、これはホラー映画です。そう言えるのはホラー者。

そもそもホラーって何?ホラーに何を求めるの?悪魔が出てくるから怖い?悪魔が実在するのなら逆説的に神の存在をも肯定することになるでしょ、じゃあ怖さよりも安心感のほうが勝るじゃん。だから主人公は神を見て恐怖を克服し、自分の運命を受け入れるよね。

さて、じゃあどこに恐怖が?

西洋人って合理主義と宗教の間でどうやってバランスを取っているんだろうと常々抱いていた疑問に対する答えは物語内で揺れる視点と共感によって、そのままホラー好きがいつも答えを避けたがる実在と非在の間で常に揺れ続ける心情ともシンクロし、これはもう観ている間中ホラーというものに対する疑問を投げかけてくるようで、とても息苦しい二時間なのでした。まとまらない。時間をおいてまた観よう。

法廷ドラマとしては予定調和的だし、人間ドラマとしてもあざとさが目立つけれど、ドキュメンタリイじゃないんだし、恐怖を主題として考えた場合こうなるざるをえないし、ここもまた考えさせられる部分。

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エミリー・ローズ』を観はじめてすぐに後悔する早川さん(SF者)。

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創元ではSFしか買ったことがないので免疫もありません。