2006-06-05
■ 出てたので注文

『ベータ2のバラッド』(国書刊行会)
収録作品は
サミュエル・R・ディレイニー「ベータ2のバラッド」小野田和子訳
バリントン・J・ベイリー「四色問題」小野田和子訳
キース・ロバーツ「降誕祭前夜」板倉厳一郎訳
■ 読みかけ

読書再開。ジェフリー・A・ランディス『火星縦断』はあと少し。今日の帰りには読了予定。登場人物の過去と現在をごく短い章立てで交互に描き大変スピーディで読みやすい。NASAの現役科学者が書いたという触れ込みのハードな部分は意外なほど少なめで、宇宙計画を取り巻くさまざまな問題や火星の描写などにそれは生かされているのでしょうが、あくまで人間中心で展開してゆくため私には大変ありがたい作品。惜しむらくはキャラたちの背負った過去が面白すぎて、肝心の北極目指しての火星縦断行という現在が霞んでしまっていること。あまり過酷な環境と思えないところこそが、逆にリアルなのでしょうか。こちらに知識がなければリアリティ云々もないや。
田中哲弥『ミッション・スクール』は冒頭の二篇。えーっと、MI6の諜報員で校内一の美少女が保健室でえっちなことしたり体操服+ブルマで体育教師を挑発したりしながら巨大ロボットを倒したり、恥ずかしいという感情が喚起したときにそれを死人が出るほどの破壊的な大声で叫ばずにいられない衝動にかられるという呪いで学校が崩壊したり、、、まあそんな話。ドタバタも嫌いじゃないけど、なーんかギャグが古いというかベタベタでオヤジっぽいというか。笑うというよりも寒さと紙一重のなんともいえない侘しさがいや~ん。テンポ良いアニメにでもすればいいかもしれないけれど、このままではちょっとつらいなあ。
ジョナサン・キャロル『蜂の巣にキス』は1/3ほど。キャロルは売れないとの解説の言葉がまず意外でした。なるほど、それで翻訳も遅れ気味なのでしょうか。なんとなく作者の心境の変化みたいなものが見え隠れする主人公のセリフも興味深いですが、さすがという他ない話術の巧みさであっというまに何処かに連れ去られる心地よさがたまらない。分冊の片っぽしか読んでいない短編集の残りと併せて、過去作も順に再読していこう。
■ [映画] 『白い家の少女』

海岸近くの白い家に詩人の父と暮らす少女リン。二人がこの田舎に住み初めて数ヶ月、しかし町の住民の誰一人として少女の父親を目にしたものはなかった。少女の暮らしぶりを不審に思った者たちは彼女へと近づくが・・・
随分昔に観たきりだったので色々と勘違いが多くて楽しめた。父親も含め全て少女の犠牲者となっていて、彼女の言葉も全部が嘘でまさに完全無欠のサイコさん、なんて勝手に思い込んでいたみたい。初めて観たのがこの映画の中のジョディ・フォスターと丁度同じ年頃だったので、その後の長い年月のどこかで自分の望む方向へと曲解していたようです。つまりサイコものとしての要素はあまりないわけですね。ただ、ラストで人の死を冷徹な目で見つめ続ける少女を延々と続く長回しで捉え続けるカメラは随分意味深ではありますが。
早熟な天才少女という役柄はまさにジョディ・フォスターにピッタリ、というイメージはいささか後付感もありますが、ラストの長回しにも平然と耐えるところやベテラン相手に対等に渡り合ってさらに存在感を示すところなど、さすがの役者根性。まさにこの人あってこその映画です。
共演で印象的なのはマーティン・シーン。妻子持ちでありながら少女に異常な執着を示す性犯罪歴を持つ男というまさに<らしい>役柄を、いつものハイテンション・トークと憎たらしさでオーバーに演じて見事。
しかしこの映画、今となってはもうTV放映は難しいだろうなあ。


